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BOYS AND MEN
Album
BOYMEN the Universe

BOYMEN the Universe

アルバム「BOYMEN the Universe」収録

M-01. どえりゃあJUMP!
作詞:つんく 作曲:つんく 編曲:大久保薫

■アーティスト:BOYS AND MEN
■発売日:2021/1/27
■コード:UICV-1114
■レーベル:UNIVERSAL MUSIC JAPAN

つんく♂コメント


さて、今日はハワイの10月29日。
僕の52才の誕生日にこのコメントを書いております。

自分も若い頃にアマチュアバンド時代を経てプロになって必死で駆け上がったので、男性グループで熱くやってる奴らってかわいくって仕方がありません。

その昔は、日本において、男性でアマチュアから、しかも地方からのし上がっていくって、バンドとかミュージシャン、もしくは芸人くらいしかイメージつかなかったけど、そのジンクスを破って名古屋からこうやって這い上がってきた彼らには正直ある種のリスペクトすら感じています。

ということで、今回BOYS AND MENのアルバムリード曲のプロデュースに御指名いただきましたこと、とても嬉しく思っております!

そんな彼らですが、もちろん東京からではなく、でも、大阪からでもなく、名古屋発だったからこの現象が起こったということは後付けでは納得&理解が出来るんです。
そう。”いんぐりもんぐり”の時代を振り返っても、実はこの方法、誰かが思いつく余地はあったわけです。
名古屋は独特のローカル応援文化があるわけです。
なぜ、バンドブームのあと、モーニング娘。が始まった後ででも、僕もそれを思いつかなかったのか・・・
いや、でも、僕らが動いてたらあざとく映ってこうもならなかったのか、まあ、全てはタラレバなので、議論は無駄ですが。
とにかく、僕からしたら「このボイメン現象」は、してやられた感がとても強く、仕掛けを作った方々、地方局&関係者の協力や想いも含めて「あっぱれ」としか言いようがありません。
もちろんこの長い期間、頑張ってきたメンバーあってこそですがね。

ええ年齢を超えた男子らが複数名集まるとだいたい女の子か金のことで揉めるんです。バンドの場合はまだ楽器が違うから個性も保てて、なんとかプライドも維持出来たりするんですが、ダンスグループやボーカルグループって2年くらいで大抵揉めて分裂するんです。
彼らの場合は地方にいて、大阪と東京をある種の目標兼ライバルというターゲットがあったので目指せたというか、維持出来たのではないでしょうか。
エネルギーがメンバー内に向かず、外に向けられたから。
いや、でも一番は地元名古屋を中心に彼らを応援くださってるファンの皆さんの忍耐力かなぁとも分析したり。
いろんなものが折り重なった結果の現象だと思っています。

なので、今回、僕にプロデュース依頼をいただいた時、これまでの実績踏まえて、「いや、あっぱれ!」という気持ちで見ていたので、「よし、ぜひ!」快諾させていただきました。

ちょうどテレビの「秘密のケンミンSHOW」で水野君が食べ物やなんかの説明をしているその言い方、声、空気の読み方、滑舌などなど、いろんなの含めて、「ほ~やるやん」って思った時期で、立派にここまで駆け上がってきたんやな。積み上げていくって大事だよなぁなんて妻とテレビ見ながら思ってた矢先でした。

で、楽曲&プロデュースの依頼を受け、やるならとことんやりまっせ。
曲に必要ならビキニ撮影もするのがつんく♂流ですから。という話でも「なんでもやります!」とのことだったので、やっちゃいましょ!となったわけです。

ボイメンに関して、雰囲気は頭にありましたが、事務所&レコード会社からは「ガッツはあるんですが、踊れないんでそっちの方はお手柔らかにお願いします。」と説明がありました。
「なんでもやります!」いうたばっかりやん。
って思いつつも、じっくり見たこともなかったわけで、制作に入る前に少々資料や過去動画を見ました。

「まあ、いうてる意味はわかる」

ダンスをするために集まってきたメンバーでもないですし、世間的にもここ最近のK-POPダンスで目の超えた感覚で見ちゃうとスタッフからの伝言も納得かと。

でも、モーニング娘。だってMAXやSPEEDがガンガン踊ってた時代背景の中で、踊れなくともなんとかなったので、「わかりました。やってみましょ」というところから始まってます。

楽曲作りですが、ええ年齢を迎えた男性らが歌うのって、正直本気で難しいんです。
本人たちに「自分」というものが確立されているので、歌詞とかイメージを気にしちゃうんですね。

バンドなんかもそうです。

20才前半はまだ雰囲気で乗り越えれるんですが、30才前後となると、どんなことを歌っていいか、迷うんです。

なので、彼らのアドバンテージとしては、歌詞を書いたり曲を書いたりしないんで、良い意味である種無責任でいられるということ。

僕はこれを大いに活かすべきだと思いました。
失敗したら作った奴のせいにすればいいんです。(俺か!?汗)

日本の男性アイドルたちがある程度年齢いってもやってられるのは、そこがいい意味の無責任でいられるので、パフォーマンスに徹することが出来る点です。

バンドだったら音楽誌のインタビューでアルバムのテーマから歌詞の意味から音楽性までなんだかんだウンチク言わないといけないし、わかりやすすぎる歌詞で売れると他のバンドが「あんなアホな歌詞で売れて恥ずかしくないのかね」とかやんややっかまれるとかもあるしね。

でも、彼らにはそんなの関係ないから堂々とパフォーマンスに徹してやり切ればいい。
うん、シンプル!

ディズニーランドのミッキーマウスが、「今月のパレードの踊り」の意味についてウンチク語ったり、「今回のは僕らのイメージじゃないです」とか言わないでしょ。

なのでメンバーは最高のパフォーマンスで、世の中の皆さんに笑顔や元気、夢や希望を提供する。それが一番のメッセージとなるということ。
個性や各々からのメッセ―ジは今の時代、それぞれのSNSでも発っせれるしね。

ところで、大きな意味で僕へのプロデュース依頼って2種類あります。

一つは「シングルベッド」や「ズルい女」や「いいわけ」みたいな哀愁感のある歌詞の世界、もう一つはモーニング娘。やハロー!プロジェクトにおける遊園地的なキラキラしたディスコ感あるファンタジーな世界。

彼らは後者タイプの依頼でした。

長年同じグループをやってると、客観的でいたはずのスタッフですら俯瞰で見ているつもりが、実は同じスパイラル下にいて、発想が似てきたり、外側から俯瞰で見れなくなってたりするものです。

今回は、そういうことからの脱却という意味も含めて僕へのプロデュース依頼でもあると考え、テーマを決めました。
「心からのエスコート」です。

やはり、「彼らにのぞむこと」それは「ワクワクの世界へのナビゲーション」そのワクワクの世界へ真心を込めてエスコートしてほしい。
そんな気持ちなんですね。

現実から夢の世界へ連れ出してくれるような、そんな逃避行感覚。
僕らオヤジ世代から見ても彼らからはそんな頼もしさと潔さを感じるんですよね。

東京の人らならきっと淡々と扱われて、大阪の人のサービスはどうもお金儲けからの優しさ!?なんて疑ってしまう。
でも、この名古屋民の接待は地方という良さも含めて、手厚くって、リーズナブルで「なんかいい!」みたいな、そんな期待感あるやん!

住んでる人からすると少々恥ずかしがるんですが、僕はもっと名古屋名古屋してていいと思うし、名古屋では当たりすぎて恥ずかしいくらいのことが、東京でも大阪人にとっても、なんか目新しくってカッコよく映ったりするもんです。

その辺の魅力をもっと押し出していければ、ここからあとも、彼らのビジネス的な成長ってあるだろうなって感じちゃいます。

あ、脱線したけど、そんな「手厚いワクワクの世界へのナビゲーション」を「真心でエスコート」する彼らの歌は、日本を元気にしてくれるだろうなってそう思って、イメージは名古屋発のロケットが宇宙に向かって飛んでいくようなそんな楽曲を作りました。

名古屋を代表する王子様をやり切ってくれよ~!と。
だって、途中で恥ずかしいとか、しんどがってるミッキーマウスは見たくないやん!
彼らはプロとして徹底してそれらをやってくれる。僕はそう思いました。

名古屋ででは絶対的な王子様でいることが彼らにとって(ファンにとって)一番大事なこと。
宝塚のジェンヌたちが宝塚でいつも輝いてくれているのと同じです。
だから、そのキラキラを観に全国から宝塚に行きたくなるわけですから。

正直、楽曲として、彼らにとっては曲のテンポはだいぶ早いです。
なので、ダンスを踊るのもだいぶ大変と思います。
それでも、この超パーティーダンスソングで名古屋発のエンタメワクワクロケットを飛ばして欲しいなってそう思います。

「どえりゃ~JUMP」して欲しい!
本当にそう願っています。

歌詞の意味としては、
これまで幾多の困難(あったやろ?笑)を頑張って頑張って乗り越えてきた彼ら。
涙も愚痴も出ただろう。

その気持ちは僕の胸にしまうから、君はそんな状況や諸事情は何も気にしないで。
僕にドーンと任せてよ!

みんな集まってワイワイやるのって楽しいけど、その後ってちょっぴり寂しいけど、そんなことをボソっていう君がとても愛おしい。

不器用な俺だけど、この全てを超えて君を「幸せ」へ連れていくからね!
名古屋から宇宙くらいのでっかい夢にむかって羽ばたいていくよ!

という熱い男の大宣言物語です。

衣装は基本コンセプトの学生服をベースにさらに煌びやかに王子様感を足して。

MVやジャケットも宇宙に向かって飛んでいくロケットのようなスケール感で仕上げてくださいと大きなコンセプトを掲げました。

どうぞ、みなさま、どえりゃ~楽しんでください!


===

セルフライナーノーツ ダンス&MV編

さて、ボイメン話です。

10月29日に書き上げたボイメンの楽曲「どえりゃあJUMP!」に関するセルフライナーノーツはもう読んでいただけたと前提にさせていただき、その後のお話を少々。

実際、今回は結構時間の無い中、作曲から始まって諸々のコンセプト出しをして、衣装決めたり、ジャケット決めたりしつつ、楽曲を仕上げていきました。

時間が押し込んできて実際に困るのはダンスの振り付けとミュージックビデオの撮影です。

例えばモーニング娘。ならば、本人たちの力量や、振り付けを理解して覚えるまでの時間など、「ああ、これくらいの時間が必要だなぁ」とざっくりした期間が頭の中で換算出来るんですが、初めての相手となると「踊れる踊れない」は別として、この「振りを理解して踊る」までの尺がどれくらいかかるのか検討がつきません。これが困るわけですね。

そもそも事務所サイドから「踊れませんので・・・」と言われていたので、それなりに覚悟はしてたんですが。

いざダンスの振り付けに入ると、 男性だし、大人だし、なんだかんだ言ってもこれまで何年もライブ活動はしてきてわけで、女の子にくらべるととにかく迫力はめちゃあるんです。

つまり、実は動けてたんです。

「ほ〜、ちょっとイメージと違うやん」

とはいえ、「動ける」のと「ダンスを理解して、そして踊る」というのは、また全然別物で、大人であればあるほど、今までに経験したことのない指示に体そのものが戸惑うわけです。

おそらくサッカーのメジャーリーガーにバレーボールを教えると、身体能力そのものは高いので、きっとそのうちバレーも上手になるだろうけど、最初の1〜2日間は指示された内容通りに体が動かないというか、頭の中で「あの人がこう動くから、そこでジャンプしてボールを打つんだな」とか頭で考えて整理する時間も必要なので時間もかかるはず。

そんなような感覚で、初日の振り付けをいれてるビデオを見た時のみんなの顔はどろんこ状態でした。(実際にどろんこじゃないよ)

そこから本番のMVの撮影まで、先生によるメンバーへの直接指導の機会がたったの1回だけ。

僕は僕でダンスの先生に「ここはこう。」「Bメロのここはもっとこう。」 「サビのダンスのイメージは打ち合わせの時の話は一旦忘れて。」 「今の彼らにはもっとこんな感じで!」など、直しもお願いするわけで。 振り付けとして一回体に入れたあとも変更の指示がくるメンバーとしては、なかなか大変だったと思います。

ダンスの先生は今回男性のコレオグラファー「えんどぅ」氏にお願いしました。

僕が過去に審査員を務めてたものまね番組でちょいちょい見かけてたダンサーなんだけど、まあ、キレあるダンサーで、しかも、顔で踊るダンサー。俺が大好きなタイプ。
ずっと頭の中にメモってて、数年前に一回打ち合わせして、その時は具体的な仕事にならなかったけど、今回は男性グループだし、これはぴったりマッチする!って思って「えんどぅ」に声かけました。

そんな「えんどぅ」も僕との仕事は初めてなので、つんく♂流のダンスの仕上げ方もあるので、若干ダンスを表現するときの言語が違うというかね。
なので、お互いそのそれらを理解しあうのもいつもより時間がかかったと思う。

実際、えんどぅ先生もレッスンが始まった時、「とっちらかってるメンバー」へのダンス指導にだいぶ戸惑ったと言ってた。

「今日が振り付け合わせるの最後です。」って日までにそこまでの修正点を全部伝えて、後は任せるしかなく、最終的にどんな感じまで仕上げてきたのか、MVの引きのダンスを見るまで検討もつかなかったんです。

「どうなっったんや・・・心配」と。

しかし!なんとびっくり。めちゃくちゃ踊ってるやん!

最初にあんなに不安そうに振りを頭にいれようとしてた彼らでしたが、最終的に踊ってる姿は、もう頭での理解を超え、カラダが覚えて踊ってる。
そんな感じでした。

お〜!!

やるやん!

きっと最後の振り付けが終わってから、かなり自己練をやったんじゃないかって思う感じ。

やっぱ、この子らなんかちゃうわ。ええ顔してるわ。
ええ顔で踊ってる。

そう、顔でダンスしてるんです!

このMV やライブパフォーマンスを見ると、今までファンだったみなさんですら、「あ、何か違う。変わった!」って思うんじゃないかな。

僕のとっても自信作となりました。

メンバーのドヤ顔も溢れまくってるしね。

MVの監督は島田欣征さん。

これまた初めてお仕事させてもらったんですが、今までと少し違う角度で映像も仕上げたかったのでCGに強い監督さんの動画をたくさん見せてもらって、その中でもキラキラ率とスピード感。そして、一番大事なメジャー感(スケール感というのかな)を感じる監督だったので、お願いいたしました。

東京や大阪に対して「名古屋ですいません」みたいなちょっと低姿勢な感覚から「どえりゃあ(ええ感じ)名古屋!」なイメージで思いっきり胸張って飛び出す感じをこの作品に詰め込んでもらった感じ。

本当にいい感じに仕上がった。 52歳の俺が見てても、今の彼らって男性として一番脂の乗ってる年齢と思う。 映像見ててニヤニヤってしてくるので、世の女性が見てもなんだかワクワクするんじゃないかな。

10代の男性グループやかなりシュッとしてる爽やかな最近のK-POP勢とは全然違うけど、ここ最近みたことない味の濃さとパワー感を感じます。
名古屋コーチンをガラごと何時間も煮詰めた濃厚のスープにニンニクたっぷりで仕上げた鶏鍋って感じかな。

ね、癖になるわ。これ。



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