『つんく♂のリズム論』


 
 
プロのバンドマンになった僕は、『レコーディグ』をアマチュア以上に経験することとなりました。
 
機材やスタジオも、サザンやB´zのものと同じような仕様だったろうと思います。
ライブで何度も何度も演奏してきた曲を数曲レコーディングしました。
歌もレコーディグしました。
家に帰って何度も何度も聞きました。
「あれ?何かが違うぞ」
そうなんです。スタジオに入ってレコーディングすると、なにかぎこちないと言うか、
ギクシャクしている感じがするんです。
メンバーの演奏もそうだったかもしれません。
当時のディレクターにもなんとなく相談してみるのですが、
“分かりやすく説明してもらう”というようなことはなかったんです。
 
 
で、考えました。
「なぜ、ギクシャクするのか?」
テンポを打ち出した『クリック』に合わせて演奏したり歌を歌うのですが、
ライブの時なら自然にリズムをファッションのごとくとって歌うのに、
レコーディングの時はリズムが止まっていたのです。
 
 
リズムをKEEPしていないと出だしが分からず、最初の一拍がとれず、
合わせるように急に飛び込むので、相当ぎこちなくなるのです。
様子でいいますと、数人で行う『縄とび』です。
縄をまわしてくれているところに入っていくとき、「いーち、にー、さ〜ん!」って
数えて頭を動かして、縄に飛び込んでいきますよね。
その、“最初に数えること”をしないで、縄に飛び込んでいくと、
ほとんどがつかえてしまい、縄にかかってしまいます。
もしくは、一回目が上手くいっても、その後リズムを数えてないと
二回目か三回目で縄にかかってしまいます。
 
 
音楽もそれと同じで、曲が始まる前からリズムを数えないと
音楽につまずくのです。
音楽の縄の中に入った後も、ずっとリズムをとっていないと、
その演奏や歌はぎこちないリズムとなり、長時間スムーズな状態を
KEEPすることが出来ないんです。
 
 
そんなことに徐々に気づいていったのです。
そのあたりから、リズムのあるもの、ないもの、リズムの『ノリ』やリズムの『跳ね』とか、
いろんなことを理解していくのでした。
 
 
音楽の教科書には絶対に載ってないことであります。
 
 
続く。
(2006年某月)

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