『つんく♂のリズム論』


 
 
これまでに、プロになって、音楽の中のリズムを考え始めた僕は、
体全体でリズムをキープしていたら、長い休符に出会っても、
次の一拍目に困らないということぐらいまで、解ってきました。
 
すると、体自体は、リズム身体能力も全然若いので、
いろんなリズムに、自然と反応していることに、気付き始めてきたのです。?
(それがいざレコーディングとかになると、体が硬くなっていたり、
リズムキープを忘れたりするのが“人の常”で、
「おっと、止まってはいけない、1,2,3,4・・・」なんて考えてる僕がいたのですが、、、。)
 
例えば、BOOWYの『BE BLUE』と、プリプリの『ダイヤモンド』は同じ「ドンタンドンタン」のノリなのに、
何か違う感じがする。なぜだ?って。 。
良く考えてみると、当然音符に置き換えても違うのだが、
一瞬、同じリズムなんだな、って思っても不思議ではない。
テンポはきっと同じような速さかもしれない。
けど、曲そのものがもっているリズムが違うのです。
 
BOOWYの曲は「ドンタンドドタンドドタドッドタン」で2小節が成り立っている。
 
一方プリプリは「ドンタンドンタドッドタンドンタン」である。
 
・・・BOOWYの方は「8ビートや16ビートのノリ」であるに対して、
プリプリの方は8分の6拍子の「チキチタカチチキチタカチ」というリズムが
 
今までは、当然のように“体”で解っていたことなんですが(ドラムも叩くし)、
でも、音楽を意識し、理解し始めると、いろんなことが一気に解決に向かうわけです。
「今、世の中にあるポピュラーミュージック」のリズムの方程式が、
どんどん解けていくわけです。
ああ、楽しい!
 
 
同じころ、シャ乱Qの4thシングル「上・京・物・語」のレコーディングに差し掛かって、
今度は、オリジナルの曲にリズムをつけていく時に「あれ?」って思うんです。
 
アマチュア時代、プロになって二枚のミニアルバムを作ってきたのに、
「あれ?」って、どうやってギターのストロークにリズムやアクセントを入れていいのか
わからなくなるんです。
 
まるで、急にエスカレーターに乗れなくなる時みたいに、
「あれ、どうやってノッてたっけ?」って・・・。
 
ついさっきまで、“俺はリズム博士だ”!なんて思ってたのに・・・。
 
そうです。
オリジナルのものにリズムを入れるのは、相当に難しい。
 
「ジャガツジャーンガジャガ」なのか、
「ジャ〜ンガジャンジャ〜ンガジャンジャ〜ンガ」なのかです。
 
もっと他にも候補のリズムパターンはありました。
 
でも、この『上・京・物・語』を、決して懐かしいフォークソングにはしたくなかったので、
どうしたらいいのか?をすごく考えました。
 
普通で考えると、前者のリズムパターンで、
村下孝蔵さんの『初恋』とかは普通に弾けるリズムです。
 
でも、この『上・京・物・語』には合ってない気がしました。
 
なので、後者を選んだのです。
 
BPMが140以上ある曲に対し、16ビートのシンコペーションつきのストロークを
5分近くキープするのは、相当難しいことに気付きました。
 
いままで、? 1   2   3   4   って数えてたものを
        1234223432344234
と、4倍に刻んでキープしないと、リズムからアウトしてしまうからです。
 
普通のストロークなら2倍で刻んでいれば、“ちょっとリズムのいい奴”です。
 
でも、4倍はちょっとなじむまで1年は掛かりました。
レコーディングもヒーヒー言いながらリズムを刻んで、
「ええ?!このテンポでライブやんの???」って感じでしたね。
もちろん、そのリズムキープは歌にも活かせます。
次では、その歌に活かした方法でも話せたらな、と思ってます。
 
 
ちなみに、
今では更にその倍くらいのスピードでポピュラー音楽を分析理解して、
演奏やエディットをしています。
 
続く。
(2006年某月)

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